プログラミングの基礎を学んで、地域の課題を解決するアプリケーションをデザインしよう
身近な問題や地域の課題に気付き、プログラミングの基礎を活用してクリエイティブな解決法を考え、チームで協力して、課題解決を目指すアプリケーションをデザイン、提案して発表する。
その他の実践:同志社小学校(外部サイトに飛びます)*iOS端末およびMacでのみ、閲覧が可能です。
その他の実践:敬愛小学校(外部サイトに飛びます)*iOS端末およびMacでのみ、閲覧が可能です。
(「その他の実践」の内容については、未来の学びコンソーシアムで把握していませんので直接Appleへお問い合わせください。)
2020年2月: 2020年度の実施に向けて訪問場所や内容を一部修正
2020年6月: その他の実践へのリンクを追加
学習活動の概要
身のまわりにある問題や身近な地域の課題に気づき、チームワークを発揮しながらクリエイティブな方法で課題を解決するためにプログラミングの基礎を学び、アプリケーションデザインを提案し発表する。
課題解決を通して、より良い地域にするために自分たちでできることを自発的に考えたり行動したりする意識を育て、自分の生き方を考えていくための資質・能力を育成することができるようにする。
本単元においては、これまでの生活科や総合的な学習の時間での地域の学習を踏まえ、地域における課題の設定や、 コードを使ってパズルを解くような問題解決から始まり、学んだ知識やスキルを実社会の問題解決(アプリケーションデザイン)に応用する。
身のまわりにある問題に気づき、ジブンゴトとして捉えるとともに、自分たちが問題を解決するために実現できるアプリケーションを考え出し、そのデザインを提案する。Appleが開発したEveryone Can Codeのレッスンを通し、iPadとSwift Playgrounds アプリケーションを使って人とコンピュータの仕組みや動作の違いを知り、プログラミング的思考を学びながら、すべての人が使いやすくわかりやすいアプリケーションデザインを提案する。
学習指導計画例(総時数:35時間)
目的
私たちの日常生活や社会において「技術」が活用されていることを理解するとともに、これからの未来について考えることで、この後に行われる企業と連携した総合的な学習の時間の授業に関心をもって取り組めるようにすること
- 現在の私たちの生活を便利にしている「技術」が存在すること
- 今後も様々な社会の問題を解決して未来を作っていく活動が重要であること
- それを担っていくのは私たち(児童)だという理解をすること
本時の展開
- 生活を便利にしている「技術」を知る
- 現在の生活の便利さが、昔は当たり前ではなかったこと
- 現在でも様々な「技術」が私たちの生活を便利にしていること
- 私たちの生活にはすでに様々な「技術」が導入されており、生活を便利にしてくれていることを知る
- 学校・家の中にコンピューターやコンピューターに関連するものはありますか?
- 様々な社会の問題を解決して、未来を作っていく活動が重要であることと、それを担っていくのは私たち(児童)だという理解をすること
- Society5.0のムービーを鑑賞 (2020年1月で公開停止)
- 上記までの指導をふまえて、今後行う企業と連携した授業を説明する
【課題の設定】(1時間)
- 日常生活に目を向けよう
- 日々の生活の中で、自分や家族、友達が抱えている問題、課題について話し合う
- 地域の問題に目を向けよう
- 住みやすい要素と解決すべき課題について自分が知っていることや、調べてみたいことを書き出す 。
- 道路の段差など安全性、防災、教育、環境(ゴミ、美化)、環境保全、高齢化、福祉・健康、観光等、身のまわりから考える
【情報の収集】(2時間)
- 書籍やインターネットを使って問題を調べたり、家族にインタビューする
- どんな質問をすると問題点が浮き彫りになるか、必要となる情報は何かを想定し、探究する
- ゲストティーチャーを招き、地域の取り組みについての話をしてもらう。もしくは、地域の方にインタビューにうかがう
- 問題の把握はどのようになされているか?
- 問題の解決にどのような手法が用いられているか?
- 地域の人たちに問題提起するために、どのような告知、啓蒙活動が行われているか?
【整理・分析】(1時間)
- 集めた問題を整理して、自分たちが解決できる問題を選択する
- マインドマップやウェビングを使って、問題を整理する
- 問題について1つ1つ解決策のアイデアを出し合う
- 問題解決にあたり、現時点で自分たちができること、できないことを判断する
【まとめ・表現】(1時間)
- 整理できた問題を発表資料にまとめる、自分たちの考える問題を発表する
- 地域には様々な課題があることを認識し、解決していこうという関心をもたせる
テクノロジーが進化することにより人々の生活がさらに便利になっていくことについて調べる
【課題の設定】(1時間)
- テクノロジーが今の社会にもたらしている効果について学習する
- 朝起きてから夜寝るまでの行動で、テクノロジーとの関わりを考える(デジタル放送、信号、エレベーター、ゲーム、オンラインショッピングなど)
- プログラミングがもたらすこれからの可能性を身近なところから考える
- どこにいても学べたり、働ける
- どこにいる誰とでも繋がれる
- いいアイデアさえあれば、誰でもどこからでも簡単に形でき、世界に届けられる
- より多くの情報にアクセスし、つなぎ合わせ、今までできなかった事を実現する
- 結果、新しいスキルや職業が生まれる
- 様々な問題解決の方法があることに気づき、さらにいずれも人間がプログラミングで作り、運用していることを紹介して、プログラミングへの興味を引き出す
【情報の収集】(8時間)
- プログラミングとはどういうものか体験する
- Apple Storeを訪問し、Swift Playgroundsでプログラミング(プログラミングの概念を体験的に学ぶ)
- 人間とコンピュータの違いについて話し合う
- ロボットは命令されたとおりにずっと動いてくれる
- 人間は決められた命令以外でも自分で判断して動く
- テクノロジーが身近な生活を良くする例を自ら体験する
- A R (拡張現実)は世の中でどのように活用されているかを知る(Appleウェブサイト参照)
- iPad内蔵のARアプリケーション「計測」などを実際に使ってみる
- ARテクノロジーを応用するとどんな問題が解決できそうか、アイデアを話し合う
【整理・分析】(2時間)
- 身近な生活を良くしているアプリケーションについて調べたことを整理する
【まとめ・表現】(2時間)
- プログラミング体験を踏まえて、情報技術の進化が人の生活を豊かに、幸せにしていく未来についての自分の考えをまとめてみよう
- 自分が考える未来の形をイラストやエッセイでまとめよう
アプリケーションをデザインして、プレゼンテーションアプリケーション(Keynote等)を使って表現する
【課題の設定】(1時間)
- ITを使って地域の生活を良くする例を学習したことを踏まえ、1次で設定した地域の課題に立ち戻って、解決していく方法を課題として設定する
- 1次で「できない」と思ったことも、プログラミングという手段を使えば解決できることがある。
- アプリケーションデザインのアイデアを考えよう
【情報の収集】(2時間)
- 解決しようとする方法について、それを利用する人たちはどのような人だろうか調べる
【整理・分析】(10時間)
- アプリケーションのデザインを考える(5時間)
- アプリケーションの目的、誰のどのような問題を解決しているのかまとめる
- 実装したい機能や画面のイメージをTayasui Sketches Schoolなど手書入力できるアプリケーションや写真で表現する
- グループ内でアイデアを発表し、フィードバックをもらう
- みんなからのフィードバックをもとに、デザインコンセプトを最終化する
- Tayasui SketchesやKeynoteなどで、ストーリーボードを作成する
- Apple Storeを訪問して、Keynoteによるアプリケーションのプロトタイプ作成方法を学ぶ(2時間)
- アニメーションの方法
- Keynoteでアプリケーションデザインを実装する(3時間)
- キャラクタを考えて、Tayasui Sketchesなどでキャラクタのイラストを作成する
- 写真やビデオなどの素材を準備する
- ストーリーボードを元に、Keynoteにアニメーションをつける
【まとめ・表現】(3時間)
- アプリケーションデザインをまとめて発表する
- 保護者や地域の方に試してもらい、アイデアや使いやすさについてコメントやアドバイスをもらう。
- 自分のアプリケーションデザインを振り返り、課題の解決につながるものであったかどうかを検討し、さらなる改善案を考え、そもそも方向性の変更をすべきなど俯瞰的に見直す。改善や変更案を具体化し、今後につなげる。
- プログラミングを学ぶことはなぜ大切なのか、どのような意味があるのか、考えて話し合う。自分や自分のまわりや、世界中の様々な境遇にある人の立場からも考え、自分の言葉で表現する。
こちらの学習について「修正意見」を頂きました。学校での指導計画作成にご利用ください。 (修正意見にご協力頂いた先生方はこちらに記載しています)
- 「日常生活の中の問題、課題に目を向ける」ことに関心を全く持たない子供がいたり、関心が持てても探求すべき課題に落とし込むことが難しい場合がある。問題や課題について、話し合ってみんなで作り上げていくプロセスを大事し、課題を実感できる共通体験が必要。
- 想定されている地域の問題の範囲が広く、焦点化できない可能性があるので、各学年で扱う地域問題との関連付けを検討する。
- 拙速に解決策を検討するのではなく、その課題の要因について考えたり、調べたりする活動が必要で1次だけでは収まらない。
- 生活上の課題がテクノロジーとつながっているというところに持っていくのが難しい。ゲストティーチャーとのやり取りの中に、テクノロジー(ひいてはプログラミング)とのつながりを埋め込んでおく、いわゆる「しかけ」をしておく。
- 課題をしぼって,「その課題の解決」のためにプログラミングが必要だという実感を持たせてから2次につなげるべき。難しければ,「その課題をこういう方法で解決するアイデアを欲しい」というようなミッションが降りてくる(町内会長とかから)ようなしかけもあり。
- 何のためのプログラミング体験かを意識させて,常に課題解決とのつながりをイメージさせることが大事。課題の現場に出かけて情報収集するなどが必要。
- プレゼンは課題解決のための提案だと意識させることが必要
- Everyone can createと関連させるのはどうだろうか。[地域に出て,写真撮影→気になる場所の発見→気になる理由の明確化→相互作用的に環境が変わる未来の構想→未来構想についてのディスカッション(できれば地域の方とか)→相互作用を実現するために必要なプログラミングの基礎的体験→プログラミングでできることについての探究→構想した未来の実現方法を検討→未来についてのプレゼン(聴衆のリクエストに応じるプログラミング込み)]というような流れ。